五臓六腑と妊娠
東洋医学の独特な考えの一つ”五臓六腑”についえお話ししましょう。
お酒を飲むとき、「五臓六腑に染みわたる~~」という人がいますね。
この五臓六腑は内臓を指します。
ただし、一般的な内臓とは似ているようで似ていません。
東洋医学が始まった時代は顕微鏡もなければ、レントゲン、MRIなどもありません。
血液の中に赤血球や白血球、血小板があるということも分かっていません。
肉眼で確認できること以外は何もわからなかったのです。
特に内臓を手に取って構造を確認するには、取り出すしかありません。
取り出すには亡くなっている方を解剖する方法しかありません。
しかし、すでに内臓機能は停止しているので、どう動いていたかは想像するしかありませんでした。
しかも、死人から内臓を取る行為はタブーとされ、そう簡単にはできなかったようです。
昔の中国では罪人を使って調べたという記載があります。
他にも「カワウソ」など動物を解剖して、人間も同じ構造だと考えていたようです。
まあ、多少は似ているところもありますが・・・。
どんな方法でも、当時は停止した内臓を確認するだけで、生きている内臓には出会えませんでした。
では何をもって当時は五臓六腑の働きを見出したのでしょうか?
それは陰陽五行が関係していたと想像ができますね。
色や形、大きさ、位置関係などから内臓の働きを考察していました。
昔の人の観察力や想像力には頭が上がりません。
それでは五臓六腑についてみていきましょう。
まず内臓には臓と腑、奇恒の腑に分けられます。
臓は、身の詰まった器官で、生命の維持に必要な栄養物質をつくりだし貯えるところ、
肝、心、脾、肺、腎、心包があります。
腑は、空間のある器官で、飲食物を消化して排泄するところ、
胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦があります。
奇恒の腑は、腑のような形を持ち、臓のような機能を持ち、物質が通過する通路としての役割を持ち、
胆 脳 髄 骨 脈 女子胞があります。
五臓六腑を五行論に当てはめてみます。
自然界と五行を一覧にした五行色体表があります。
この表はとても便利です。
例えば、肝は目、爪、筋、涙、春、怒と関係があります。
目がかすみ、爪が割れやすい、筋(すじ)を痛めている、ドライア、春の病、イライラするなどは肝の不調で起こってくると考えるのです。
自分の思い当たる部位を探してみると良いでしょう。
臓腑それぞれの働きを見ていきましょう。
各臓腑の働きと失調によってどういった症状が出るのか一覧でした。
やはり一般の内臓とは働きが違いますね。
この五臓六腑なんて健康維持には何の意味もないと思う人もいるかもしれません。
でも東洋医学は自覚症状と他覚症状の両者を大切にします。
症状と五臓六腑が紐づけされているので、意味がないことはありません。
例えば、腎は、生殖能力や生命力、成長と深い関係があります。
よって老化や疲労によって、体力は落ち、肌の色が黒ずみ、身体の関節に力が入らず、歩けない、腰が曲がる、耳が遠くなる、歯が抜けるなどの症状が起こります。
不妊も腎の不調が影響します。
なかなか妊娠しないと思ったら、腎の不調を疑います。
乳幼児の発育で「起立の遅れ」「歩行の遅れ」「言葉の遅れ」「発毛の遅れ」「歯の生え揃えの遅れ」を五遅といい、これも腎の不調です。
このように症状から原因や病状を知り、治療を行うのが東洋医学です。
ちなみに腎の不調の場合、補腎という腎を補う方法を行います。
有名な六味地黄丸、牛車腎気丸、八味地黄丸などの漢方薬や腎兪、太谿などのツボを使い、黒ごま、黒豆、黒きくらげ、ひじきなどの黒い食べ物を使います。
まだまだ人体はわからないことがたくさんあります。
内臓もまた解明されていません。
そこで一つの考え方として東洋医学は有効です。
不妊治療の結果が出ないとお悩みの方は、東洋医学を利用してみるのも良いのではないでしょうか?
病院での検査結果に異常がなくても、東洋医学の診断では問題が見つかることもあります。
少しでも引っかかることがあれば、対処することも妊娠への近道となるでしょう。